本店移転をすると、各所に届出をする必要があります。

下記が主な手続です。

• 本店移転登記　→　法務局
• 労働保険名称、所在地等変更届　→　労働基準監督署
• 雇用保険事業主事業所各種変更届　→　ハローワーク
• 適用事業所　名称/所在地　変更（訂正）届　→　年金事務所
• 異動届出書　→　税務署、都道府県税事務所、市町村

今回は、「本店移転登記」について必要資料及び手続の流れをまとめておきます。

本店移転登記

移転後の各種届出には新しい「登記簿謄本」の添付が必要となるので、

まずは法務局に本店移転の登記申請をします。

期限は本店移転した日から２週間以内。

必要資料は管轄内移転か管轄外移転かで変わります。

法務局のホームーページで、移転前移転後それぞれの所在地がどの法務局の管轄かを調べます。

同じなら管轄内移転、別なら管轄外移転です。

管轄内移転

《管轄内移転の必要資料》

• 本店移転登記申請書
• 取締役会議事録（取締役会のある会社）又は取締役決定書（取締役会のない会社）
• 委任状（代理人に依頼する場合）
• 収入印紙3万円分
• 株主総会議事録と株主リスト（定款変更を含む場合）

定款を確認し、自社の本店所在地がどこまで記載されているかを確認します。

市区町村までの記載で、移転後もその区域が変わらないのであれば定款変更は不要なので株主総会議事録と株主リストはいりません。

管轄外移転

《管轄外移転の必要資料》

①変更前の法務局あて

• 本店移転登記申請書
• 取締役会議事録（取締役会のある会社）又は取締役決定書（取締役会のない会社）
• 株主総会議事録
• 株主リスト
• 委任状（代理人に依頼する場合）
• 収入印紙3万円分

②変更後の法務局あて

• 本店移転登記申請書
• 委任状（代理人に依頼する場合）
• 印鑑（改印）届書
• 収入印紙3万円分

①②まとめて変更前の本店所在地を管轄する法務局に提出します。

その他

管轄内移転の方がリーズナブル

管轄内移転なら収入印紙は3万円ですみますが、管轄外移転の場合は6万円かかります。

印紙代節約のために移転先を変えることはないかと思いますが、頭の片隅に置いておいて、移転先を選ぶときの判断材料のひとつにしてもいいかと思います。

設立時には、将来の本店移転を想定し、定款の本店所在地を市区町村までにしておくのがいい

定款に記載する本店所在地は、「最小行政区画である市町村（東京都の特別区を含み、政令指定都市にあっては市）により表示すれば足り、〇丁目〇番地まで表示する必要はない。」とされています。

分かりにくい言い回しですが、結論から言うと、東京都23区は区まで、他は市町村まで、でOKということです。

（具体例）

• 東京都中央区 → 東京都中央区
• さいたま市浦和区→さいたま市
• 名古屋市中区→名古屋市
• 愛知県海部郡蟹江町→蟹江町

本店移転の際、同じ最小行政区画であれば定款変更の必要がなく楽です。

後々のことを考えて、設立時には、定款に地番まで入れないように気を付けておきたいものです。
（市区町村までとするのが一般的なのでほとんどの会社がそうしていますが、たまに地番まで入れている方もいらっしゃいます。）

必要資料のひな形は法務局のホームページにある

申請書や議事録など必要資料のひな形はこちら（法務局のホームページ）にあります。

本店移転に限らず、役員変更など他のよくある登記申請についても掲載されています。

登記申請はオンラインでもできる

代表取締役のマイナンバーカードとカードリーダライタがあればオンライン申請も可能です。

以前は法務局が発行する商業登記電子証明書しか利用できませんでしたが、法改正によりマイナンバー カードも利用可能となりました。

詳しい申請方法はこちら（法務局のホームページ）。

ただ、法務省が提供する「申請用総合ソフト」が随分と使いずらいようで、挫折した方、最初から諦めた方も多く、まだ郵送や持参が主流なようです。

登記完了はどこで分かる？

「○○法務局 登記完了予定日」で検索すると具体的な登記完了予定日が確認できます。

大体1週間くらいです。

登記が完了しても法務局から連絡がくるわけではないので、
完了したかどうかを確実に確認したい方は、法務局に電話して直接聞くか、法人番号公表サイトで自社の法人番号を入力してみて住所が変わっているか確認します。

変わっていれば登記簿謄本を取得します。

法務局に行ってもいいですが、「登記・供託オンライン申請システム　登記ねっと　供託ねっと」で取得するのが便利です。