原田ひ香さん著「三千円の使いかた」から「足るを知る」を学ぶ
原田ひ香さん著「三千円の使いかた」を読みました。
つい先日2023年1月7日深夜から
東海テレビにてテレビドラマも始まったそうです。
本作は全6話の連作短編小説。
毎回別の人間の視点から描かれており(1話と6話は同じ)
それぞれのお金にまつわるエピソードがえがかれています。
小難しくなく
さらさらっと読めました。
ネタばれになるので詳細は書きませんが
最終話でした両親と祖母のお金の使いかたが胸に響きます。
全編通して思ったことは
結局お金なんていくらあっても少ないと思えるし
誰かと比べている限り不安はつきまとうんだな
ということ。
よそはよそ、うちはうち
解説で垣谷美雨さんが
[他人は他人、自分は自分」と、あなたは心の底から割り切れていますか?
と問いただされている気がした。
と書かれていました。
わたしは昔から母に
「よそはよそ、うちはうち!」
と言われて育ちました。
(今はどうか分かりませんが 、30年以上前はそういう家庭多かったかと。)
そう裕福ではない家庭だったので
うちになくてよそにあるものが多く
よく不満を漏らしていたんですよね。
最新ゲーム機器・おもちゃ・お菓子・服・靴・子供部屋etc・・・。
学年があがるにつれ
いろんな事情を察し自然と言わなくなりましたが
小さい頃はそんなことわからないので
よく母に反発して文句を言っていた覚えがあります。
ただ、年齢を重ね不満を口に出さなくなったからと言って
「よそはよそ、うちはうち!」を心底理解できるようになったのかと
言われればそうでもなく、、。
努力はしていますが
心の底から割り切れません。。
ただやっぱり
他人と比較し続けている以上
いつまでたっても満足できないことも分かっています。
(どこまでいっても上には上がいるものです。)
垣谷さんが最後に
途中で何度も立ち止まり、「他人は他人、自分は自分」と自分に言い聞かせることで、理不尽から来るやるせなさや嫉妬を吞み込んで、翌朝には本来の自分に立ち戻るーそれを繰り返して人は生きていくのだと思います。
と書かれていますが
まさにその通りだなと。
理屈ではわかってはいても
嫉妬心や羨望の気持ちは出てきちゃうんですよね。
機械的に考えられればいいんでしょうが
そうはいかないのが人間。
湧き出る感情は抑えられませんが
訓練をすることでコントロールはできると思っています。
これからもついつい他人と比べて
嫉妬や羨望の気持ちを持ってしまうでしょうが
その度に「よそはよそ、うちはうち!」と
自分に言い聞かせながら
日々暮らしていこうかと思います。
足るを知る
「足るを知る」という言葉があります。
有名な言葉ですが全文は
「足るを知る者は富む」
です。
古代中国の思想家・老子の言葉。
この小説を読んでぱっと頭に
浮かんだのがこの言葉でした。
「足る」とは満足するということ、
「富む」とは幸せになるということ。
つまり
満足すれば幸せになれる
ということです。
よく例えに出されることですが
コップに水が半分はある状態を見て
「もう半分しかない」と思うか
「まだ半分ある」と思うかの違いです。
コップに水が半分という事実は変えられないけど
受け取り方を変えることで
幸せにも不安にもなる。
お金も同じです。
金額は変えられないけれども
それを多いと思うか足りないと思うかは変えられます。
植西聰さん著「『足るを知る』と、幸せになれる」
の中でドイツの文献学者のエーリッヒ・アウエルバッハの言葉として
下記が紹介されていました。
「現在持っているものに満足しない者は、持ちたいと思っていたものを手に入れたとしても、満足しないであろう」
ドイツの文献学者のエーリッヒ・アウエルバッハ
そうだろうなと。
満足しないことがモチベーション
につながる人であれば問題ないんでしょうが
満足できないことが
不安要素となりネガティブに作用してしまうわたしのような人には
「足るを知る」は肝に銘じるべき言葉です。
お金は幸せになるための手段
この小説の中では
20代で貯金30万円の独身女性も
50代で貯金2000万円の主婦も
70代で貯金1000万円の高齢女性も
皆一様にお金が少ないことに不安を抱えています。
とても滑稽ですよね。
いつまでたっても
お金がない不安から解放されないじゃないかと。
老後の備えは必要だし
目標のための(家を買うとか旅行をするとか)貯金
もいいことです。
でも頭の片隅で
「まあ、ないならないなりの生活をすればいいんだけど」
ということも覚えておく必要があるのかと。
以前読んだ紫苑さん著
「71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活」
から学んだことです。
備えはあるに越したことないけれども
ないならないなりの生活をすればいいだけ
だし結構できるもんです。
お金なんて結局いくらあっても少ないと思えるので
(イーロンマスクくらいあれば少ないとは思わないでしょうが)
やみくもにお金をためることだけに躍起になる必要はありません。
大切なのは
お金はいくらあっても少ないと思えるもんだ
ということを理解しておくこと。
そして
ないならないなりの生活をすればいいだけ
ということです。
まとめ
老後2000万円問題のように
いたずらに不安をあおるやり方が好きではありません。
不安をかきたてずとも勤勉な日本人はちゃんとお金を
稼ぐしためるし運用するでしょうから。
お金はじぶんや周りが幸せになるための単なる手段
なんだということを忘れず生きていきたいものです。