適正価格

税理士の顧問報酬はいくらが普通?

今年、ひとり税理士として独立予定です。

顧問報酬をいくらに設定するか今検討中です。

税理士の顧問報酬の相場は?

そもそも税理士の顧問報酬の相場とはどのくらいなのでしょうか?

会社の規模や打ち合わせの頻度などによるので一概には言えませんが
年商数千万円~5億円程度の場合

「月額顧問報酬 3~5万円」
「決算料 月額顧問報酬の4~6ヶ月分」

が一般的です。

その他
年末調整・償却資産申告・法定調書合計表作成など年に1回しかない仕事もあり
通常これらも税理士に依頼します。
料金は大体1つの業務で1~3万円程度。

一番低く見積もったとしても
月額顧問報酬3万円・決算料4ヶ月分+数万円で
年間50万円程度はかかることになります。

※なお、記帳代行までお願いしたいのであれば更に記帳代行料がかかります。
代行料は仕訳数によりますが、月1~3万円程度はかかるでしょう。
ただし、記帳代行料は顧問報酬に含む、としている事務所もあるので要確認です。

会計事務所の人件費率は35%程度と言われています。

そうすると年収300万円の職員の場合
会社負担の社会保険料も考慮すると大体1000万円の売上が必要になります。

顧問先1件が年間50万円だとすると20件担当をもつ必要があるということです。

一般的な会計事務所の担当数は一人当たり20~30件程度ですから、
まあ妥当な料金設定ということになります。

格安税理士の存在

格安税理士なる存在をご存じでしょうか?

特に定義は無いようですが、概ね月額1万円以下の税理士を指すようです。

「月額1万円・決算料なし!」
なんて事務所です。年間12万円。

一番低く見積もった相場と比べても4分の1。破格です。

相場の料金なら職員ひとりで20件の担当をもてばOKでしたが、
この場合、4倍の80件担当をもたせないとまわらないことになります。

まあ、格安税理士といえどもすべての顧問先が年間12万円なんてことはないでしょうし
もしかしたら人件費率がすごく高いのかもしれません。

ただ、そう考えたとしても
そもそもが安いのでひとり50~60件くらいはもたせないとまわらないでしょう。

平均担当20件の業界の常識からいって
50~60件の担当をもたせないとまわらないような料金設定を
している時点できめ細やかな対応は無理です。

きめ細やかな対応は求めない、とりあえず申告だけしてくれればOK
という人は格安税理士でも問題ないのかもしれませんが、
「きちんとした申告をしたい」
「税理士に頼りたい」
「普段から、あるいはなにかあったときに相談相手になってほしい」

と考える経営者は格安税理士はやめておいた方が無難でしょう。

格安税理士のHPをみると
「サービス・品質に妥協はありません」
「相談もいつでもOK」
なんて文言が並んでいたりしますが
実際には、なんとか申告だけ済ませているというのが実情でしょう。

よっぽどのスーパーマンでない限り50~60件の担当は対応不可能だと感じます。
(とはいえスーパーマンほどの高い能力のある人ならただ数をこなすだけの仕事の受け方はしないかと思いますが。)

じぶんはどうする?

独立後の顧問報酬は2023年1月30日現在検討中です。

ただ、相場より安くは考えていません。

料金を安くしてお客様に喜んでもらうことも選択肢のひとつかもしれませんが
そうしてしまうと事務所を存続させるためには数をこなす必要が出てきます。

わたしはスーパーマンではありません。

お客様ひとりひとりの状況を正確に把握して自分の中に落とし込んで丁寧に対応できるのは
25件程度が限界かと思っています。

最高で35件の担当をもち対応をしていましたが
正直言ってすべてのお客様にきめ細やかな対応ができていたとはいいがたい。

お客様によってかなり差があったと、正直、申し訳ない気持ちがあります。

わたしは
「お客様に本業に集中できる環境を提供したい。」
「お客様の事業が発展することで間接的に社会に貢献したい。」
と思っています。

具体的には、
月次のチェックを正確に行い、
決算前に納税予測をし、
必要な節税の提案をしたうえで適切な納税をしていただく、
という流れをつくりたいと考えています。

そのため、利益度外視で安売りすることはしませんし、
逆に、べらぼうに利益を上乗せするつもりもありません

まとめ

税理士の顧問報酬に限らず
商売をするうえで価格設定はとっても大切です。

事業を「継続」する気があるのであればじぶん(あるいは自社の商品)
の適正価格を知ることはとても重要です。

一時的に値を下げる対策が必要な場面もあるでしょうが
あくまで「一時的」との認識は必要です。
それが通常価格になってしまわないように。

なんとなく、えいや、ではなく、
事業の「継続」を前提に、考え抜いて価格設定を行いたいものです。