医療法人が決算後にすべきこと《登記Ver》
医療法人は株式会社と違って毎年「登記」と「都道府県への届」が必要です。
医療法人を運営する上で欠かせないものです。
まずは本記事で「登記」について
次の記事「医療法人が決算後にすべきこと《都道府県への届Ver》」で「都道府県への届」について
ご案内します。
医療法人は登録免許税がいらない
株式会社にしろ合同会社にしろ会社を運営している方はご存じかと思いますが
登記には登録免許税がかかります。
主だったところでいうと
株式会社設立は最低15万円
合同会社設立は最低6万円
役員変更は1万円(資本金1億円超は3万円)
本店移転は3万円あるいは6万円
など。
しかし、医療法人の場合は
何をしても登記時の登録免許税がかかりません。
かからないんですが、実は
「医療法人は登録免許税が非課税」
などと法律で定められているわけではありません。
では何を根拠に登録免許税がかからないのか?
それは、課税の範囲を定めた登録免許税2条に
医療法人の記載がないからです。
登録免許税2条(課税の範囲)
登録免許税は、別表第一に掲げる登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明(以下「登記等」という。)について課する。
続いて、別表第一を確認すると
株式会社・合同会社・合名会社・合資会社・一般社団法人等・相互会社・・・
などについて記載はあるんですが「医療法人」についての記載はありません。
というわけで
医療法人は登録免許税が非課税、との法律はないけれども
「登録免許税2条に定める課税の範囲に医療法人は含まれていないので登録免許税がかからない」
ということになります。
資産の総額の変更登記・・・毎年
医療法人が毎年必ずしなければならないのが
この「資産の総額の変更登記」です。
以前は事業年度終了後2ヶ月以内と定められていましたが、
平成28年4月1日以降は事業年度終了後3ヶ月以内でよくなりました。
添付書類として
「財産目録」または「貸借対照表」が必要です。
なお、資産の総額とは純資産のことを意味しています。
理事長の変更登記(重任)・・・2年ごと
医療法人の役員の任期は最長2年です。
株式会社の場合、平成18年の会社法施行により最長10年まで
認められるようになりましたが、医療法人は対象外です。
よって2年ごとに「理事長の変更登記」が必要になります。
医療法46条の5第9項
役員の任期は、二年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。
株式会社の場合、取締役全員の登記が必要ですが
医療法人の場合、ひら理事は登記事項に含まれていないので理事長だけ登記すればOKです。
医療法人の登記事項
(医療法43条に定められている登記事項)
①設立
②従たる事務所の新設
③事務所の移転
④その他登記事項の変更
⑤解散
⑥合併
⑦分割
⑧清算人の就任又はその変更
⑨清算の結了
(組合等登記令による登記事項)
①目的及び業務
②名称
③事務所の所在場所
④代表権を有する者の氏名、住所及び資格
⑤存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
⑥資産の総額
添付資料は
「社員総会議事録」
「理事会議事録」
「定款」
「医師免許証の写し」
です。
※就任承諾書も必要ですが議事録に就任を承諾した旨の記載があれば不要。
まとめ
登記を忘れた場合、
医療法93条の規定により20万円以下の科料が科されます。
医療法93条
次の各号のいずれかに該当する場合においては、医療法人の理事、監事若しくは清算人又は地域医療連携推進法人の理事、監事若しくは清算人は、これを二十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律に基づく政令の規定による登記をすることを怠つたとき。
医療法人は、
「決算」と「登記」と「都道府県への届」はセットです。
抜けの無いように対応しましょう。
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